フランス大統領選挙

とうとう、ニコラ・サルコジがフランス大統領になりましたね。
決選投票になった時点で、極右のル・ペン支持者がロワイヤルに投票するはずがないし、結果は見えていたようなものですが、勝ってしまうと、「あー、サルコジ、ついに大統領かぁ。……」という感じです。

僕は2003年に一年間パリにいたのですが、とにかく、この人をテレビで見ない日はないんじゃないかというくらい、良くも悪くも注目の的で、主張が明確で実行力があり、メディア戦略にたけ、演説を初めとして自己プロデュースが非常に上手く、どんなときでも自信満々で、まぁ、賛否両論真っ二つでしたが、「否」の側が危機感を持つほど、政治家としてはデキる雰囲気の男でした。その印象が、彼の掲げる新自由主義的な主張と妙にマッチしてたんですね。むしろ、マッチしすぎて、「力のあるものは上に上がれ」というよりも、「力のないものは落ちぶれろ」と言っているかのような、ネガティヴなイメージを醸し出していたのも事実です。

早くから大統領選に出馬することを公言していましたが、当時はまだみんな、「本当になるのかなぁ?」と半信半疑でした。特に、僕のまわりにいたフランス人は、作家だとか、大学の先生だとか、インテリが多かったので、サルコジは蛇蝎の如く嫌われていましたね。

僕自身は、彼を支持しませんし、好きかと問われれば嫌いと言うより他はないですが、他方でロワイヤルも、大統領候補としては今一、魅力に乏しかったなというのが率直な感想です。美人ですけどね。
今回は、古き良きフランス的社会システムvsアメリカ的な新自由主義、という世界観の対立ということになっていて、投票率が80パーセントを超えているのですから(しかも、日本のような団体動員が難しい国情にも拘わらず)、フランス人はやっぱり政治意識が高いなと感心しましたが、実際には、感情的にサルコジが嫌いだからロワイヤル、という人も結構いたと思います。しかし、選挙の内実としては比べものにならないくらいお粗末だった、この前の東京都知事選もそうでしたが、そういうアンチ票頼みでは、なかなか勝てませんね。

率直に言って、サルコジは時流を読む力に長けていたんだと思います。
僕なんかは、週35時間しか働かないで、3週間も平気でヴァカンスを取るフランス人のお気楽さに面白みを感じていましたけど、失業率8パーセントというような社会矛盾や移民問題もさることながら、あの国でバリバリ働いている若い人たちにとっては、そういうのは、もうユル過ぎる感じがずっとしてたんだと思います。屈折してますけど、アメリカへの憧れというのは、非常に根強いものがありましたし。
とにかく、フランスという国はこれで、かなり変わってしまうんじゃないかという気がしています。無責任に言えば、ちょっと残念ですけどね。

今回、Youtubeで大統領選の映像を見ていたのですが、かなりの数が投稿されていますね。
「これが真のサルコジだ!」というようなネガティヴ・キャンペーンの動画もありましたけど、日本の今度の選挙で、そういうことが起こりますかね?

それにしても、「第五共和制第六代大統領」という呼称は、なんか、歴史を感じさせてカッコいいですね。。。