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『空白を満たしなさい』、刊行!

こんにちは。

一年にも及ぶ長い休眠期間(?)を経て、久しぶりの更新です。

これを機に、はてなダイアリーから、はてなブログに移行しました。

最近は、公式ホームページ http://k-hirano.com のみならず、ツイッター @hiranok やらフェイスブックやら、ネット上にいろんなのが増えて、ブログはつい疎かになりがちですが、ここはここで大事にしていきたいと思ってますので、今後は心機一転、もっと頻繁な更新に努めます!

 

さて、昨年から今年にかけて「モーニング」誌上に連載していた『空白を満たしなさい』が、いよいよ、単行本化されました!

空白を満たしなさい

空白を満たしなさい

 

世界中で、死んだ人間が、突如として生き返り始める、という物語です。と言うと、不気味な話のようですが、ホラーではありません(笑)。

静かに、ふと、もう二度と会えないはずの人たちが戻ってきます。
主人公も、「復生者」と呼ばれるその一人なのですが、他の人たちとは違って、彼の「復生」は、なぜか周囲に手放しでは喜ばれません。

そもそも、本人は、自分が死んでいたという自覚もなく、死んだ時の記憶もありません。

一体、何があったのか? 
その謎から、物語は始まります。

 

連載は、漫画雑誌というアウェーな場所でしたので、この小説は、文学にまったく興味がない人にも楽しんでもらうというのが、大前提でした。

担当者も、文芸の担当者とは視点や感覚が違っていて、大いに刺激を受けました。話のテンポの速さ、読みやすさなど、その成果はかなりあると思います。

とはいえ、文学ならではの感動がなくなってしまえば、わざわざ文学を読む意味もないですから、そこのところでは徹底してます。読み応えがあってこその面白さですから。

 

少し由来の話をしますと、この小説は、去年、僕が36歳の時に書き始めました。丁度、自分の父親が死んだ歳で、作家になった時から、僕はその年齢を迎える時には、何か自分なりの死生観を、小説の言葉にすべきだと感じてました。じゃないと、その年齢をうまく越えられない気がしていました。

そして、図らずもその年には、東日本大震災で、多くの方が亡くなることになりました。それもまた、決定的な出来事でした。

震災が直接、扱われているわけではありませんが、これは震災後の小説です。

いずれに意味でも、『空白を満たしなさい』は、僕にとって特別な作品になりました。

 

デビュー以来、僕はずっと現代を「生きる」ということについて考えてきました。特に、2000年代に入ってからは、あまりにも社会が激変して、もう旧来の人間観では到底、間に合わないという実感を強く持っていました。

根性論でも、安直な癒しでもなく、どうすれば、今の自分の生に納得できるのか。

幸福とは何なのか?

この小説では、僕と同世代の人間の自殺が一つのテーマになっていますが、それは、最終的に生を肯定するためです。

重たく、悲しい内容を含んでいますが、書き終わったあと、僕はどこか明るく、晴れやかな気分でした。

 

自分自身の第三期の仕事としては、『決壊』、『ドーン』、『かたちだけの愛』で、「分人主義三部作」のつもりだったのですが、この『空白を満たしなさい』でも、「分人」という概念は重要な意味を持っていますから、結局、「四部作」になってしまいました(笑)。勿論、その分、更に前進しています。現時点での僕の集大成です。

新書『私とは何か 「個人」から「分人」へ』では、「分人」について、僕自身の経験を交えながら、分かりやすく解説してますので、併せて是非、ご一読ください。

私とは何か――「個人」から「分人」へ (講談社現代新書)

私とは何か――「個人」から「分人」へ (講談社現代新書)

 

講談社のHPにも特設サイトが作られています。
既に読んで下さった方の感想も載ってますので、どうぞ、ご参考に。

http://www.bookclub.kodansha.co.jp/books/topics/kuuhaku/