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横尾三昧

『KAWADE 道の手帖 横尾忠則〜画境の本懐』というムックに「主体のスプリット〜Y字路から見直す横尾芸術」というエッセイを書いたのですが、今月は別に、「ミセス」で6時間、「文學界」で6時間、合計12時間も横尾さんと対談しました。


対談の間に流れている時間の感覚は独特ですね。6時間飛行機に乗ってじっとしていると、退屈で死にそうですが、熱心に人と喋っていると、そのくらい、すぐに経ってしまいます。小川隆夫さんと『TALKIN'』を出した時も、梅田望夫さんと『ウェブ人間論』を出した時も、ぞれぞれにかなりの長時間対談でしたが。


『ディアローグ』という対談集を出したくらいですから、気がつけば、僕はけっこうな対談好き作家になってますが、人がそれを読んで面白いと思うのかどうかは分かりません(笑)。ただ、自分のためにはなってます、ものすごく。このところ、理化学研究所の主催で、鳥の鳴き声について研究されている岡ノ谷一夫さん、体内時計に関する研究をされている上田泰己さん、免疫システムがご専門の谷口克さんと、三回に亘って六本木ヒルズで公開対談をしていたのですが、これまた、毎回発見が多かったです。
やっぱり、異分野の人ほど面白いですね。対談前後の予習復習も、いい勉強になってるんだと思います。企画を考える人のお陰ですが、対談相手にも恵まれてきたと思いますね、僕は。


さて、横尾さんですが、ブログhttp://www.tadanoriyokoo.com/vision/index.htmでも、光栄にも「友達」宣言してもらっていますが(笑)、僕は実は、けっこうちょくちょく電話で喋ったり、アトリエに遊びに行ったりしてるんです。そういう時にも、長話してますから、横尾さんとの対談が長かったというのは、単にいつも喋ってる感じで、たまたま隣でテープが回っていたというだけなのかもしれませんが。


横尾さんと喋るのは、本当に楽しいですね。芸術家かくあるべしというか、発想が自由で、ハッと目を開かせられることが多いです。美術史に対しても独特の深い理解があって、僕のブッキッシュな知識にとっては、良い薬です。もっとも、そんな深刻な話ばかりをしているわけではなくて、大半は茶飲み話なのですが、それが面白くて、僕はよく、ソファの上で笑い転げています。


それにしても、音楽好きだった中学、高校時代に、サンタナやマイルスのジャケットを見て、おぉ!とか思っていた横尾さんと喋ってるんですから、自分でもビックリしますね。6、70年代のスーパースター時代の横尾さんに憧れた世代とは、僕はまたちょっと違う感覚なんだと思いますが、「隠居宣言」をして、「レイトワーク」の制作に励んでいる芸術家の謦咳に接することが出来るというのは、本当に貴重なことだとつくづく感じます。