『決壊』は、6月30日刊行です!

『決壊』は、新潮社から上下巻本で、6月30日に刊行されることになりました。
今から宣伝しても、みなさん、忘れてしまうと思いますので、近づいてきたら、また改めてお知らせします(笑)
今、2度目の精読をしているところですが、引き締められるところは引き締め、食い足らないところは更に追究して、連載時以上の完成度を目指したいです。

これまで僕は、作家は、自分なりの理解のもとに作品を完璧に仕上げて、読者に渡してしまったら、あとはどう読まれても構わないと考えていたのですが、この『決壊』に限っては、読者がページを捲るどんな一瞬にも、作者が併走していることが実感できるような作品にしたいと思っていました。手探りでもいいから、分からないことを考え続けようと。
そのために、初の長篇小説の連載ではありましたが、いつもとは違って、事前にあまり細かく全体をつめることはしませんでした。それでやっぱり、ある種のライヴ感が出たんじゃないかという気がしています。

今月号の最終回を読んで、あの「結末」が分かる、と言ってくれた人が思った以上に多かったのですが、それは、うまく言えないですけど、うれしかったですね。もちろん、色んな意見があると思いますが。
僕は、心底悲しい気持ちで最終回を書きましたけど、僕の今後の小説家として取り組みは、あの「結末」からどう出発するかということに尽きると思っています。