時差ボケその他


ダブルケイイチロウ対談@ABCは、お互いに創作のことを色々と話し合えて、かなり有意義でした。
ほとんど、クローズドな雑誌対談のように、好き放題に喋ったので、聴いていた人が面白かったのかどうか、やや心配ですが。
リニアな作品の時間の流れの中で、それぞれの瞬間を任意に輪切りにした時に、断面をどれくらいきれいに出来るかというようなところに関心が集中しました。僕はどうしても、シーツ・オヴ・ワーズの小説家なので、情報量のコントロールやプロット・ラインの濃淡、終局に向かって伸びやかに前進する運動と、どうしても干渉し合ってしまう、奥に向かうパースペクティヴの深浅の加減など、『ドーン』みたいな小説では、調整に苦心しました。
まだまだ道半ばという感じです。
『かたちだけの愛』を単行本化する時には、余白の作り方に工夫が必要そうです。


先週はとんぼ返りでハワイに行ってました。
妻が伊東美咲さんと仲良しなので、僕まで結婚式にご招待いただいたのですが、それはそれはお美しかったです。
滞在中、急激に円高が進んで、若干恩恵は被ったのですが、来年の経済のことを考えると素直には喜べません。
今回は、帰国後の時差調整に失敗して、昨日までなんとなく時差ボケが残ってました。


行き帰りの飛行機の中で、ずっとプロジェクトCのために、久しぶりにサンソン・フランソワのショパンを聴いていたのですが、キーシンみたいに、音符の玉が、どれもピカピカに磨き上げられて、黒々と光を放っているような演奏のあとでは、あのアナログっぽい、不揃いの音符の玉が、所々かすれたりしながら急に輝いたりする演奏がなんとも心地よくて、ショパンってやっぱり、こういう手触りの音楽なんじゃないかという気がしました。昔は、フランソワのやりたい放題は好きじゃなかったのですが、今はその古き良き時代の自由さが貴重に感じられます。


ポリーニアルゲリッチの世代のあと、誰のショパンを聴くべきかという話ですが、キーシンはやっぱり卓越してますね。感動するというより、説得される感じですが。ソナタの2番とか聴くなら、ポゴレリチの方が面白いんですが、アレが、ずっと聴いててそのうち飽きてくる演奏なのかどうかは、まだよく分かりません。


昨日は、「ファッションが教えてくれること」を新宿のバルト9で観たあと、歌舞伎町のロフト・プラス・ワンで、「薬師寺vs辰吉★15周年記念 伝説復活!薬師寺保栄トークライブ」という、友人がプロデュースしたマニアックなイヴェントに行ってきました。あの試合は、大学1年の時に見たのですが、今振り返っても本当に感動的な試合でしたね。
ご本人の解説&脱線トークが絶妙でした。
アナ・ウィンターの話も書こうと思ったのですが、長くなったのでまたそのうち。


東京は、今日はいい天気です。
時差ボケ後、まっとうな人間の生活時間帯に戻ってます。