『ドーン』装幀
出来ました!
いやぁ、カッコいいですねぇ(笑)。
今回は、『モノローグ』、『ディアローグ』でもお世話になった、古平正義さんにまた装幀をやっていただきました。デザインに関心のある方はよくご存じだと思いますけど、古平さんは、本当にすごい、天才的な人です。
装幀だけではなく、おまけ的な部分まで面倒を見てもらったのですが、それはご購入後にニヤッとしてください。といっても、グリコのおまけみたいなのがついてるわけではないです(笑)。
これ、ソフトカヴァーなんです。
ハードカヴァーとどっちにするか、デザイナー、編集者と話し合ったのですが、モノとしての見た目、さわり心地の印象といった美的な面とは別に、重さ、ヴォリューム、それから、このご時世ですし、定価を抑えるという意味でも、ソフトカヴァーにしました。
ハードカヴァーがこれだけ一般的なのは、日本独特の出版文化だと思います。
『ドーン』は未来小説ですが、小説その他の文章のデータ化の流れの中で、モノとしての本、本というパッケイジングの形態を考える上で、装幀そのものが、将来に向けてのひとつの提案となるようなものがいいんじゃないかという話を編集者にしました。
ハードカヴァーという文化がなくなるとなると、それはそれで惜しいですし、そうはならないと思いますが、ただソフトカヴァーでも、こんなにかっこよくできるんです。その分、定価も抑えられるし、軽量化して持ち運びも楽になる。あと、電車の中などで片手でも読みやすいです。
パソコンのモニターだと分かりづらいと思いますが、イエローとかシアンとか、インクの色のメーカーまで印刷所に指定して、こだわり抜いた印刷の色が、ものすごくきれいなんです。
素晴らしい装幀の時には、いつも言ってることですが、僕に興味のない人も、デザインに惹かれて買ってください(笑)。
こういう装幀を見ると、本はやっぱりなくなって欲しくないなと思いますね。
この数日、読売の連載のために海外某所に取材に行ってました。
空港で、『TIME』の「Special Commemorative Edition」と『Newsweek』とを買ってマイケル・ジャクソン特集を読んでいたのですが、頭の中では彼の曲がずっとなりっぱなしで、ひとりでウルッと来てました。ipodいらずというか、僕の場合、音楽は、映像などよりも遥かに記憶の再生精度が高いです。そして、グルグルグルグル際限もなく回り続けます。
『TIME』は、それにしても、やっぱりすごい雑誌ですね。ページの作り方を見ていて、改めてつくづく感じました。
『Newsweek』は、クィンシー・ジョーンズの回想記がすごく良いです。まだ日本のウィキペディアなどでも曖昧に書かれているマイケルのプロデュースを手がけるきっかけになった時のことが詳しく書かれています。面白いことに、『TIME』もその部分は間違っています。エピックがマイケルのソロアルバムをクィンシーに依頼したと『TIME』は書いているのですが、実際は、クィンシーがマイケルに話を持ちかけて、マイケルがレコード会社に提案したんだそうです。で、エピックはそのとき、「クィンシー・ジョーンズは、ちょっとジャズ過ぎるだろう」と一度、却下したそうです。さもありなんというか。それをマイケルはなんとか説得したそうで、クィンシーは、彼のそういうビジネス感覚、ビジネス勘は過小評価されていると書いてます。確かに、あの時代のクィンシーと一緒にやるとなると、ものすごくハイブロウな仕上げになって、評価はされるけど、そんなに売れないアルバムになるだろうと事情通ほど考えたでしょうね。