タクシーの中での与太話


年末の渋滞に巻き込まれたタクシーの中で、運転手さんから聞いた話です。


運転手:「いやぁ、男って悲しい生き物ですよ。」
僕:「何ですか、急に?」
(以下、その順番)
「この前、夜、歌舞伎町でお水の女の子を乗せたんですよ。」
「ええ。」
「行き先聞いたら、町田って言うんですよ。」
「へぇ。」
「それで、店のお客さんらしい男が、見送りに来てて、『運転手さん、幾らくらい?』って訊くんですよ。で、そうですねぇ、なんつってたら、女の子が自分で、『いつも、2万円くらいだけど、……』って言って、私に目で合図するんですよ。」
「ほぉ。」
「そしたら、その男もカッコつけちゃって、『じゃあ、足りないといけないし、これで』って、2万5千円渡したんですよ。」
「このご時世に。」
「フツーのサラリーマンみたいな、まあ、40代ですかね、見た目的には。そんな人ですよ。」
「それで?」
「それで、こっちも、ラッキーと思うじゃないですか、町田だから。」
「そらそうですよね。」
「ね、そう思うでしょう?」
「あ、分かった。新宿駅まででいいとか言うんでしょ、電車で帰るからって。」
「いや、それならまだ良いですよ。ワンメーターだけ乗って、そこの角曲がってって言うんですよ。歌舞伎町ですよ、まだ。で、ケータイで誰かと話してるんですよ。『着いた、着いた!』とか言って。」
「(笑)」
「で、ワンメーターなのに1万円渡されちゃって、これしかないのーって、これがまたかわいい顔で言うんですよ。それで私も、あー、良いですよー、なんつって、9千幾らおつり渡して。そしたら、次に乗ってきたお客さんが、また万札で。」
「本当は、その子も、中野坂上あたりに住んでたりしてね。」
「いや、もっと近くなんじゃないですか。歩いて帰れるくらい。」
「押しかけられても困るでしょうしね。自己防衛の意味もあるんですかね。」
「頭いいんですよ、男より。」


……と、そんなような話でした。
若干、ネタっぽいですけど、似たような話はあるんでしょう。
それにしても、最後まで聴いても、もうひとつ、冒頭の「男って悲しい生き物」につながらないような……(笑)