『春琴』(サイモン・マクバーニー)にやられる。。。


世田谷パブリックシアターに、サイモン・マクバーニー演出の舞台『春琴』の再演を観に行ったんですが、あまりの素晴らしさに、大体、数年に一回くらいしか泣かない涙腺堅めの僕も、思わず涙ぐんでしまいました。
谷崎潤一郎の『春琴抄』を、『陰翳礼讃』のコンセプトで演出した作品で、ぜんぜん、お涙頂戴の話じゃないんですけど、非常に的確に読解されたテキストを、豊富なアイディアと洗練された技法でスタイリッシュに、「陰翳」豊かに構築していて、僕がこれまでに観た舞台の中でも、ベストなんじゃないかという感じです。
見終わったあとは、もう、なんというか、しばらく仕事をするのがイヤになっていたのですが、そうは言っても〆切は去らず、いつもながらの「オレもがんばろう」的なところで、気持ちの収まりをつけたというか。。。


前作の村上春樹さんの短篇を元にした『エレファント・ヴァニッシュ』も佳作でしたけど、僕は、今度の作品の方が断然良かったです。
ロンドン公演では、前作の方が手放しの賞賛が多く、今回は賛否両論だという話を小耳に挟みましたが、まぁ、日本語の舞台ですし、話の内容の問題もありますね。
初演は観てないのですが、再演の方が、より分かりやすくなっているという話でした。
大好きな女優の深津絵里さんも、改めてその多才さに魅了されました。


そういえば、ご報告が遅れましたが、『決壊』が評価されて、芸術選奨新人賞をいただきました。
お祝いをくださったみなさま、どうも、ありがとうございました。