ご無沙汰してます。


年末から、黙々と働いていて、今に至りますが、解放感に浸されるには、もうちょっと時間がかかりそうです。


今やっているのは、講談社の「書き下ろし100冊」シリーズのための500枚くらいの小説と、新書の『本の読み方』シリーズの第2弾350枚ほどです。


新書の方は再校が出たので、完成までもう一歩です。3月刊行予定で、タイトルは、『小説の読み方』になりそうです。
前作は、おかげさまで、たくさんの人に読んでもらえたのですが、「スロー・リーディング」を推奨するなら、題材を小説に特化しても良かったんじゃないかという意見が結構ありまして、今回は、前作の続きというよりも、改めて、ベーシックなところから小説の読み方について考えてみようということになりました。


小難しい小説論ではなく、あくまで、読み方、考え方の話です。
こういうあたりを気にしながら読むと、内容の理解が深まるんじゃないか、また、読み終わったあとで、人に感想を語りやすいんじゃないかというところを、作家的視点で説明しています。
小説が好きだけど、人と語りあったりするのが苦手だとか、読んでるんだけど、いまいちピンと来ないとか、少しまとめて小説を読みたい、小説についての考え方を一度ちゃんと整理してみたい、……などなど、そういう人に読んでもらうための本じゃないかと思っています。
抽象的な話ではなくて、前作以上に具体的な例文が豊富です。
今回は、基本的に現在ご活躍中の作家の作品を取り上げています。


本業の小説の方は、もう一がんばりという感じですかね。
最後までは辿り着いているのですが、仕上げに力を入れています。
『決壊』の「決壊感」は、とってつけたような従来通りの「希望」の提示では乗り越えられないというのが執筆時の実感でした。それは、現代社会の問題そのもので、徹底して掘り下げないことには、いつまで経っても、克服すべき課題が見えてこない。そういう意味では、僕の中の『悪霊』みたいな位置づけの作品です。
比較するのはおこがましいですが。


今度の小説は、未来が舞台ですが、『決壊』の結末を世界観ごと乗り越えたいというのが、野心のひとつでした。
深刻一辺倒な話ではなく、SF(サイエンス・フィクション)というより、FF(フューチャー・フィクション)的な設定ですから、楽しめる内容になっていると思います。
僕なりの「希望」のあり方を、この一年間、真剣に模索していました。
5月刊行予定ですので、どうぞ、お楽しみに!