『マイルス・デイヴィスとは誰か──「ジャズの帝王」を巡る21人』

 昨日は、皆既月食でしたね。
 デビュー以来、僕は何度も人から、「『月蝕』、読みましたよ!」と言われてきました…。
 あと、「平野啓一郎? あ、『月蝕』で直木賞を獲った人ですよね?」という合わせ技もありましたが(笑)。
 まぁ、どっちでもいいんですけど、正解は、「『日蝕』で芥川賞」です!

 それはさておき、9月10日配本で、『マイルス・デイヴィスとは誰か──「ジャズの帝王」を巡る21人』(平凡社新書)が刊行されます。
 今回も、『Talkin' ジャズ×文学』(平凡社)の時と同じで、ジャズ・ジャーナリストの小川隆夫さんとの共著ですが、前回が対談だったのに対して、今回は、二人で分担して原稿を書きました。

 タイトル通り、ジャズというより、ズバリ、マイルス本人にフォーカスした本なんですが、コンセプトとしては、僕の中では三島由紀夫の『サド侯爵夫人』みたいな感じで、あの戯曲がサド本人を登場させないまま、その周辺にいた人を通じて、サドという人間を浮かび上がらせていったように、マイルス本人について直接書くのではなく、彼の共演者を経由して、外堀から埋めてゆきながら、マイルス・デイヴィスという極めて特異な存在に迫ってゆく、というスタイルを採っています。
 チャーリー・パーカーからマーカス・ミラーまで、編年的な体裁になっていまして、シュガー・レイ・ロビンソンやシュトックハウゼン、サンタナなど、ジャズ・ミュージシャン以外の人たちも取り上げていますから、そっちの方に関心のある人が、マイルス、ひいてはジャズという音楽にアクセスするためのきっかけになってくれればと思っています。
 新書ですので、わかりやすさを第一に心がけましたが、古参のマイルス・ファンが、マイルスを外側から眺め直してみて、頭の中を整理する上でも、お役に立つのではないかと、手前味噌ですが、期待しています。
 小川さんならではのリアルな逸話も満載で、僕もゲラを読むのが楽しかったです。

 もうじき、The Quartetも来日しますし、この新書とタイアップで、ワーナー時代のアルバムも紙ジャケで再発売されます。あわせて、エンジョイしてみてください。

 

マイルス・デイヴィスとは誰か (平凡社新書)

マイルス・デイヴィスとは誰か (平凡社新書)