清澄白河にMJ降臨


東京都現代美術館に行く途中、清澄白河の商店街でばったり遭遇したマイケル・ジャクソンと羽根の生えた黒い天使です。羽根はもしかして、後ろの壁の落書きだったかもしれませんが。


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かかしなんだそうです。
もしこれを作った人が、マイケルが映画『ウィズ』のかかし役でクィンシー・ジョーンズと出会ったことを念頭に置いていたとすれば、相当ヤルな、という感じですが、どうなんでしょう(笑)?


men.style.comを見てたら、マイケルの最後のO2アリーナでのライヴの衣装は、ジバンシーのリッカルド・ティッシが手がける予定だったんだそうです。彼は、レディースの方を着ていて、それで気に入ったんだとか。「REMEMBER THE TIME」のPVでも、スカートみたいな、それっぽい衣装を着てるので、マイケルがテッシが今やってることを気に入るというのは、よく分かる気がしますが、個人的には騒がれたほどSS-FW09のコレクションはいいと思えなかったので、そうなのかぁという感じでした。
まぁ、でも、今ジバンシーに目が向くというのは、マイケルは最後までズレてなかったんだなという感じがします。というか、この80年代リヴァイヴァルの渦中で、今こそ彼の趣味がヨシとされるお膳立ては整っていたはずですが。
残念なことです。


09年のコレクションは全般的に素晴らしく良いんですが(例外はありますけど)、日本にいると、ビジネス的には、本当に厳しいんだろうなという感じをヒシヒシと受けます。
アパレル業界の内圧がリアルクローズ路線を推し進めたあと、ファスト・ファッションの大波にまで飲み込まれそうになって、慌てて今シーズンは、クーチュールでもストリートでも良いから、とにかく原点に立ち返って、モードのアイデンティティを再確認しようというのが共通した課題だったと思います。
その雰囲気を作ったのは、モード誌でしょう。リアルクローズなんか写真にとっても面白くもなんともないし、あの業界は業界で、モードのカルチャーに対する責任感もプライドもあるんだと思います。
それが結局は、ビジネスとして成功しなかったという結論になった時が本当に恐いです。
実際、なんといっても服はアートと違って薄利多売ですから、マス・コンシューマーが、H&Mで十分だとか、ジル・サンダーのユニクロは、期待以上にかっこよかったとなると、モード史的な観点から、今シーズンのコレクションがどんなに素晴らしかったかというような話は、どうでもいい、となってしまうでしょう。
これは実は、我が身に引き寄せて考えれば、出版業界(文芸編集者、批評家)と小説家との間に容易に起こりうる事態です。


グッチは、トム・フォードで復活できたのに、オリヴィエ・ティスケンスのニナリッチではそれが難しかったというのは、よくよく考えるべきことだと思います。
80'Sの解釈という意味ではバルマンが騒がれたシーズンでしたけど、個人的にはニナリッチの方がすごかったと思います。ティスケンスが、才能溢れる新人として期待されていたまさにその時に、ロシャスがつぶれ、あの業界の人は、それを象徴的な出来事として本当にガッカリしてましたが、今回のニナリッチでの契約解除は、なんかそのダメを押したというか、つくづく気の毒な人だなという感じがします。