「だらしない国、日本」

 宮本武蔵は、一乗寺下り松(たまたまですけど、大学時代、3年間そこに住んでました)の決闘の前に、八大神社で「我れ神仏を尊んで神仏を恃まず」と思ったとか、思わなかったとか言われてますけど、僕の「日本」という国に対する思いは、大体そんな感じですね。生まれ育った国ですから、愛着はありますけど、それを自分のアイデンティティの拠り所とは考えないし、「日本とは」とか「日本人とは」とか語るのが、最近ますますイヤになってます。

 まぁ、それはともかく、選挙は、事前にあれだけ民主党有利と言われていたので、いわゆる「アナウンス効果」で、自民党が多少は盛り返すかなと思っていたのですが、予測以上の大敗でしたね。
 安倍首相も、これだけ大敗して「続投宣言」というのは、本人が辞めたがらないのか、自民党が辞めさせないのかは知りませんが、ふしぎとしか言いようがないです。
 昨日から散々テレビでも言われてますけど、この選挙にまっさきに「安倍を取るか、小沢を取るか」という意味づけをしたのは、他でもなく彼自身なんだし、そうじゃなくても、内閣支持率30%以下で選挙に大敗してるんだから、結果は安倍内閣の不信任と考えるのが妥当だと思いますが。
 年金問題から一連の「政治と金」問題、大臣の失言連発と、なんというか、このところ、無限にだらしないものを延々と見せつけられているようで、ほとほとウンザリします。
 おまけに、彼が辞めても、次に控えているのは、「アルツハイマーでも分かる」とか言ってるような、どうしようもなく下品な人間ですから、まったく暗澹たる気分です。
 ああいう失言は、普段から心の中で思ってないと、絶対に出てこないものです。自分の両親や友人、知人が現にアルツハイマーで苦しんでいれば、とてもそんなことを口に出来るはずがないし、まともな大人なら、そういう「冗談」は「笑えない」ということが分かるはずですが。
 失言にも色々ありますけど、久間発言みたいなのは、いわば歴史観ですからね。僕は全然共感しないけど、政治家としてそういう意見を持っていること自体は別に悪くないし、ただ、そういう人間を選挙で選び、防衛大臣なんかに任命した人が悪い、ということです。
 しかし、「アルツハイマー」発言は、政治家以前の人間性の問題ですから。僕が軽蔑するのは、彼がそれを、講演の場で「ウケ狙い」で言っていることです。「ウケる」と思うというのは、「みんな口には出さないけど、腹の中ではそう思っている」と考えているからです。そんな人間が総理大臣になって、医療福祉問題に真剣に取り組めるはずがないです。
 漫画が好きとかなんとか言って、「庶民」派ぶってましけど、馬脚を現したというか、彼がどう目で弱い立場の「庶民」を見ているか、よーく分かります。

 僕は別に民主党員じゃないし、民主党を支持するには、もっと社会民主主義的な色を鮮明にしてもらわないと困りますけど、いずれにせよ、ヘマをしでかしたら政権交代ということをはっきりさせないと、この絶望的にだらしない感じは、いつまでも終わらないでしょうね。
 若者が政治に無関心とか、政治家はエラそうに言ってますけど、こういう結果が出たときに開き直って聞く耳持たないなら、誰も投票になんか行きませんよ。