『本の読み方 スロー・リーディングの実践』刊行!


お盆も終え、そろそろ暑さも峠を越す頃ではないかと思いますが、いかがお過ごしでしょうか?
僕は、いよいよ新作長篇の執筆に取りかかり、その冒頭部分で四苦八苦しています。
長篇は、最初はまだ登場人物も固まらないし、スタイルも不安定なので、なかなかスムーズにいかないのですが、7月から弄り続けている甲斐あって、このところ、ようやく手応えが掴めてきました。10月発売の「新潮」11月号から連載が開始されますので、どうぞ、ご期待ください。

さて、その前に、PHP新書から『本の読み方 スロー・リーディングの実践』という本を出版しました。
PHP出版からは以前に『文明の憂鬱』の単行本を出していましたが(現新潮文庫)、今回は新書ということで、またかなり毛色の違ったものとなっています。
内容はタイトルの通り、ズバリ、本の読み方についてです。
基本的には、本は、各人が好きなように読めばいいと思うのですが、せっかくなら、作品の魅力を十分に堪能したいものです。同じ本を読んで、人の半分も内容が理解できず、半分も得るところがないというのは悔しい話です。
読書は、運転や料理などと同じで一つの技術ですから、当然にコツがあります。僕は、仕事がら多くの本を読んできたのですが、その中で、自分なりに、こうすると内容がよく分かるようになるな、こういうところに気をつけておけば、自分で文章を書く時に役立つなというような発見を色々してきました。そういう工夫は、作家が独り占めしていても仕方のないことですし、これを機に人にも紹介したいなと思ったのが、この本の執筆の動機です。
特に、本を読むことが苦痛だとか、長く本を読んできた割に、イマイチ、内容の理解に自信が持てないという人、あるいは、そもそも本の読み方など考えてみたこともなかったけれど、他の人はどう読んでいるんだろうと興味を持った人などに読んでもらいたい本です。大して難しいことではないのですが、意識の持ち方一つで、読書は随分と楽しく、また有意義になると思います。
新書ですから、出来るだけ幅広い人たちに読んでもらえるよう、内容は「具体的且つ分かりやすく」、ということを第一に心がけています。国語の苦手な受験生からサラリーマン、OL、「趣味は読書」という人、リタイア後、本でも読んでみるかという気分の人まで、それぞれの関心に応じて楽しんでもらえると思います。来るべき「読書の秋」に向けて(?)、どうぞ、気軽に読んでみてください。